基準

人は自分の基準でしか物事を計れない。

ウイルスから見れば繁殖だけれど、人間から見たら感染。

菌の繁殖は、人間に都合が悪ければ腐敗だし、都合が良ければ発酵だ。


短い時間で考えれば、

暑い場所から戻れば涼しいと感じるし、

寒い場所から戻れば暖かいと感じる。

小さい音の後であれば大きいと感じる音も、

より大きい音に慣れれば小さく感じる。


これも本質的にはQRコードの例と同じ現象だ。

自分の認知できる感覚を中心にしないと、人は相対化できない。

しかし物を作る際、自分のその時々の感覚に左右されるのは困る。

安定した感覚を持っていないと、安定したものを生み出すことができない。

ではどうすればいいのだろう?


和食の料理人なんかは、梅干しを小皿に用意しておき口に含むことでリセットするらしい。

音はどうか?

感覚のリセットという意味では、聴き慣れた音楽で耳をリセットすることはできる。

他には、聴く環境を一定にするというのも手だ。

定点を作ること、そのために自分はスタジオを作った。

あとは、逆に極端な状況を試すこと。

例えば小さい音量にするとか、ノートパソコンで聴くとか、

快適ではない環境を作ることで、今まで気づかなかったことに気づくことは多々ある。

まとめると

・感覚をリセットする

・定点を作る

・極端な状況にする

という方法が考えられるということ。

あとは、ひたすら数をこなすしかないのか。


自分の基準でしか計れないという話で思い出すのは、橋本治が書いていたこと。

 自分のことを真面目だと言う人は、真面目の一般的なレベルが低くて

 自分のことを不真面目だと言う人は、真面目のレベルが高い。

 自分が100やっている時に、

 みんなが50しかやらないと思っていれば自分は真面目だし、

 みんなが200やると思っていれば自分は不真面目だ。

そうやって自分のことを評価してしまう。

ということを分かっておくのが一番大事なことかもしれない。

Naohisa TANIGUCHI's Wafers Studio

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